弊社で調査した「PURPOSE STATEMENT LIST 2023」から、東証プライム企業のパーパスステートメントを様々な視点で分類して考察するこのシリーズ。今回は、弊社が独自の視点で見出した種類の「手段インパクト」型を紹介しよう。
手段インパクト型の定義
前回で紹介したWhat-We-Do型と異なり、手段インパクト型のパーパス・ステートメントの特徴は、
文章は2分割できること。
一つの文章は手段を示し(どうやって、何で、または、何に通じて)、
もう一つの文章はその手段がもたらすインパクトを示している。
手段インパクト型の例
では、「PURPOSE STATEMENT LIST 2023」の一覧から例を紹介しよう。
ソニーグループ クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす。
味の素 アミノサイエンス®で人・社会・地球のWell-beingに貢献します。
サイバーエージェント 新しい力とインターネットで日本の閉塞感を打破する
三井金属鉱業 探索精神と多様な技術の融合で、地球を笑顔にする。
テモナ サブスクで世の中を元気に
ライオン より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する (ReDesign)
上記の例から考察できるのは、手段の説明が入ることにより、
ステートメント自体がより具体的になる
その企業と、その企業の産業の独自性が現れる
という2点だろう。
特に、具体性があることはパーパスの浸透に役立つ。なぜなら、具体性があると、そのパーパスを社員が自身の日々の仕事により繋げやすいからである。また、社員自身の仕事と、パーパスとの距離がより近くなるため、共感しやすくなる。
今年のリストの164のパーパス・ステートメントのうち 実に半分以上は手段インパクト型である。ソニーのようなリーディングカンパニーでも採用しており、分かりやすさと実用さが、理由として考えられる。
これからパーパスを策定する企業は、パーパスの表現のフェーズに入ったら、この形をベースに、パーパスの表現を探ることから始めるとよいだろう。