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執筆者の写真smo inc

VERTEX PARTNERS 山口社長と共に振り返る、パーパスを起点としたリブランディング

更新日:2023年3月28日

「新しい経営コンサルタントの姿」を実現すべく、多岐にわたる新規事業立ち上げや、医療関連会社の設立など、誰もやったことのない新しいことに挑戦し続けるベルテクス・パートナーズ。SMOと共にパーパスやCI(ロゴ)策定などのリブランディングを行った当時を振り返りながら、今後進んでいく方向性なども交えて、山口社長に当時と今の想いを熱く語っていただきました。



(インタビュー:SMO 齊藤 三希子)


 

齊藤:ベルテクスさんとは2021年に、リブランディング(CI開発)および、パーパス策定をお手伝いさせていただきました。はじめは「ブランディングをしたい」というご相談をいただいたように記憶しています。そう思われた背景はどういったものでしたか?


山口さん:私たちの会社にはすごく有能な人間が集まっているのですが、皆、職人気質で、お客さんへのコミットメントはすごく高くても、外への見せ方が下手なんです。どんなに品質の高いサービスを提供できたとしても、相手の視点に立って刺さるようなアピールをしていかないと、新規営業や採用に影響が出るんですね。そういう弱みを会社として補完してあげるようなブランディングができないか、と思ったところが原点です。


齊藤:そこで、まずはパーパスを策定して、そこからブランディングも始めましょうという形をご提案させていただきました。初めにパーパスと聞いてどう思われましたか?



山口さん:理念は当時、自分で作っていたものがあって、自分なりの言葉で書いたものを会社で共有していました。ただ、社員へのメッセージ性はあっても、社会とのつながりについての明示がなかったんです。「ベルテクスがどう社会とつながりがあるのか?」について、しっくりくる答えが浮かばなかったのですよ。そんな時にSMOさんから、まず自分達と改めて向き合い、パーパスを見つけるところからとご提案いただいた。最初は外向きで考えていたのですが、内向きの課題も当然として持っていたので、素直に「これだ!」と思いました。


齊藤:決断まで早かったですよね。もともと山口さんの中には吸引力となるビジョンなどの想いは創業した頃からあったのですね。


山口さん:僕は感覚で動く方で、喋るのは好きですけど、言葉に落とすこと、文章にすることはあまり得意ではないのですよ。言葉の力を知ってるがために、余計に自分ではなかなかそれを作れないのを自覚していて、プロに頼りたいという思いがずっとありました。


齊藤:(一緒に作らせていただいたブランドブックをめくりながら)そこで最終的に発見し策定したパーパスが


「その想いに、挑戦に、本気でこたえるPARTNER」。


明文化されて、どのような思いを抱かれましたか? 



山口さん:「ベルテクスを作ったときに思っていたことが言葉になったな!」と。これを言いたかったのだけれども、それまでは自分で明確に落とし込めていませんでした。パーパス以外にもビジョン、バリューズなど作ってもらいましたが、自分の思っていたことが言葉にどんどん乗っていく感じが嬉しかったです。それまでは、僕が発した言葉を社員が皆都合よく解釈していくと僕の思いと離れる部分があったりしていたので、根っことなるものが絶対必要だなと感じていたところです。



パーパスとビジョンを明確することで、伝わるようになる


齊藤:人数が増えてく中で「ベルテクスとはなにか?」が人によって違っていたというお話がありましたが、いま振り返っていかがでしたか?


山口さん:社員が30人、50人、70人の時にそれぞれ壁があるという認識はあって、当時はちょうど50人くらいの時でした。その時は創業時のメンバーと新しいメンバーが半々になり、ぶつかりあう時期だということは知ってはいましたが、まさにその状態で…。「ベルテクスってなに?」に対する答えが二分化していて、自分さえも、皆と違うことを思うようになっていました。


たった1、2年の社歴の違いなのですが、「あの人、ベルテクスらしくないよね」というメンバーが出てきたりして、雰囲気変わってくるんですよね。もともと男性ばかりだったのが、女性が入ってきたことで雰囲気が変わってきたのもあり、それは会社の成長として合わせなければいけないのですが、会社側から明確な「これがVERTEX PARTNERS」というのを伝えられていなかったですね。

齊藤:パーパスやビジョンは、今は伝わっていますか? 


山口さん:それについて、実はつい最近、社内メンバー5人で、自分の性格・性質を自己分析ができる外部の診断テストをしたんですよ。結果、5人とも「新しいこと」に対してモチベーションが上がるという結果が出て、それってビジョンで掲げられてる”「新しい一歩」を、みんなが普段から意識して取り組んでくれているのかなと。僕は結構嬉しかったですね。

 

齊藤:ビジョンの、”想いを共にカタチにし、世界に「新しい一歩」を生みだし続ける”という部分ですね。この背景についてもう少し詳しくお聞かせください。



山口さん:僕はとにかく日本が明らかに弱くなってるのが悲しいんですね。今の日本に足りないのは変化だと思っていて、企業はずっと同じところが強く、慣例や既得権益が蔓延っていて、やり方も変わっていない。チャレンジって8−9割失敗するのに、それを受け入れる土壌がないことが日本の一番の問題だと思っています。それを自分達でなにか変えられたらと思って、お客さんの新規事業のお手伝いとか、自分達でも新しいことを取り組んでいます。幸いにして僕らには保守的な株主もいないし、社長自身がチャレンジをし続けているから、みんなやろうよという感じです。


齊藤:外部から株主を入れないことで自分達のやりたいことをやっていくというのも、このブランドブックにありましたね。本当に私も日本を元気にしたいという思いで、パーパス・ブランディングの力で企業さんを強くするのを手伝いたいと思ってやっています。



皆を巻き込んだ策定プロセスから、浸透まで


齊藤:策定のプロセスでほぼ全社員巻き込んだ成果はいかがでしょうか?


山口さん:一緒の会社をやっているだけあって、皆に共通しているものが実は多かったという発見がありました。皆が参加したのはとても大事で、やってよかったです。


齊藤:我々としては、のちの浸透が変わってくるのでプロセスを重視していますが、実感していただけたなら嬉しい限りです。 

カルチャーについてはどうですか、変わってきていますか?


山口さん:カルチャーは、その後人の入れ替わりもあり、まだ変わりきれてないですね。入社時には研修の中で伝えていますが、全社ミーティングとかで半期に一回はちゃんと伝えていくなど、こちらからの働きかけがもっと必要かなと。パーパスやCIが出来上がった時に、これが肉となり血となったときに、はじめてここに価値が生まれてブランドができるんだよ、と話したのですが、さらに無意識に実践できるところまで来て初めて、カルチャーになると思うんです。まだ道半ばの段階ですね。

人材育成に関しては、会社のパーパスにのっとって評価シートに落としこんで活用していたり、何か問題が起きた時も、パーパスに従っているかどうかを判断材料にしています。確実に一つの道しるべ、基準となっていますね。




齊藤:ロゴを変えたことに関して、なにかお客様から反応はありましたか?


山口さん:社外からはびっくりするくらい反応なかったです(笑)。ただ社内からは反応がありましたね。名刺も単色で見やすくなり、設立当時の安っぽさ、手作り感がなくなって、「会社」としてちゃんと存在してるのが一目でわかるようになりました。


齊藤:パワーアップした自分達にプライドを持つことは重要ですよね。社外からも、声として届いていなかっただけで、反応はあったのだと思いますよ。外から見ていて、名刺やウェブサイトが変わると、「お!」と思います。なにか新しいことが始まりそうだとか、やる気が可視化される感じがします。



「新しい経営コンサルタント」の姿



齊藤:さて、元々2015年に新しい経営コンサルタントの姿を模索したいとして起業されていますが、この時思い描いていた「新しい経営コンサルタント」の姿とはどういうものだったのでしょうか?

山口さん:コンサルのキャリアって現場から始まり営業で終わるので、営業ができなかったら終わりなんですよ。現場で続けるには寿命がある。それも悲しい話だなと思っていて、それを変えたいと思っていました。経営や事業の中で、アイディアから1人で事業を作り切れる人間もいれば、組織の中でこそ成長し重要なポジションとして活躍できる人がいたりします。その人それぞれに合った役割があると思うので、コンサルティングに限定せずに自分たちの事業を起こしていく中で、各々のやりたいことを実現できたり、ピタッとハマれるところがあれば・・・というのが今見えているところですね。


齊藤:その「新しいコンサルタントの姿」は、できあがってきているのですか?


山口さん:僕の中でイメージはあるのですが、同時にそれになれる人間も少ないのだなと実感していて、難しいなと思っています。経営コンサルが起業したら成功するか?っていうとそうでもなく、やはり意思決定の材料を出すのと、自分で決めるのとでは違います。素晴らしいものを持っていたとしても、意思決定が連続することの重要さを分かっていない場合、自分を大きく変えることもしないといけない。経営者として必要なことを身につけるという大きなステップを、キャリアを歩むぐらいの気持ちで望まないと難しいのではないかと思います。海外で「プロ経営者」という職業が別で存在する理由がわかりますね。

なるべくそこに必要なヒューマンスキルやビジネススキルは会社としても重視してバリューズに組み込んでいたりしますし、実践してもらうように促したりもしています。これは僕の裏ミッションですね。



リーダーが行くべき道を示す重要性


齊藤:さて、今後、ベルテクスは5年、10年後どうなっていたいですか?


山口さん:様々な事業や会社が立ち上がって、その集合体を見たときに「なんだこの会社?」「一貫性はないし、よくこんなことできるな」とか「着眼点面白いね」と言われたいです。そして、ベルテクスは社員が主役の会社なので、社員みんなが笑顔で仕事をしていること。これが僕の思い描く5年後、10年後の未来です。


齊藤:とても社員思いですよね!その源は何でしょう?


山口さん:実は昔から何がしたいっていうのがあまりなくて、コンサル自体も具体的なイメージがわからないまま、でもわからないからこそやってみようと選びました。何がしたいというよりは、このメンバーと何かがしたい、というタイプだったので、元から「人」を一番に考えて仕事していました。思い返すと転職活動もこの会社というよりは、この人の下で働いたら面白そうだろうな、などの軸で仕事を選んでいたなと思います。


齊藤:そこが会社のビジョンの、「共に」の部分なのですね。


山口さん:そう。社内もですが、お客さんも想いに共感できる方と働きたいですし、社内外関係なく一緒に働きたい仲間として捉えています。SMOさんも、「他の会社」よりかは「仲間」として捉えています。


齊藤:仲間!嬉しいです。今っぽいですね、主語が自分でなく、Weな感じで。  


山口さん:パーパスに従って、社員が自分なりの解釈で動くことができるというのも、今ならではだと思います。AIがどんどん浸透していく中で、人間の素晴らしさって熱意だったりクリエイティブなところだと思うんです。魂や想いが乗らないといいものが作れなかったり、やり切る力も生まれない。言葉では伝えきれない感性のような曖昧な、でも大事な余白を、パーパスから読み取ってそこに自分の想いを乗せてやり遂げる。これがパーパス経営の真の価値なのではないですかね。多くの日本企業がパーパス経営を実践した時に、日本はもっと良くなるのではないでしょうか。




齊藤:そうなんですよ。皆が自律して、パーパスを軸にして行動していくだけで変わるのではないかと思います。中長期計画なども作られているのでしょうか?


山口さん:一応戦略、数値の両方を作っていますが、なかなかむずかしいですよね。誰も想定できないような外部環境の影響もあるからしょうがないと思っています。それでも毎年社員に向けて作っています。 


齊藤:今、先が見えないから中長期計画やめちゃおうって会社もあって。


山口さん:わかります!ただ、僕はベクトルを示すことは大事だと思います。達成できるかではなく、同じものを皆が目指すには、経営陣だけでなく、下のメンバーも会社をこうしていきたいという想いが必要です。全社員に戦略や計画を示し、みんなを導くのが僕らの役割なので、先が見えないからこそ、どうしていくかを示していくことが大事だと思っています。


齊藤:やはりリーダーとして、遠い将来も近い将来も見せていくというのは大事ですね。


山口さん:みんなの前に立って道を示すのは必須で、間違ったときは「ごめん!こっちだった!」って認めて(笑)。いま、DAOみたいに個人で集まってプロジェクトワーク的なのもありますが、組織だからこそできることがあります。組織だからこそ輝ける人間もいます。昔から組織のリーダーがやってきたことって、先を示すことなのではないかなと思っています。


齊藤:最後に、ここ数年間をこうして振り返ってみて改めていかがですか?


山口さん:久々にブランドブックを読み返して、会社が初期の頃に悩みながら、一人で理念体系を考えていた当時のこと、SMOさんと出逢って期待に胸を膨らませたこと、何度も何度も打合せや議論を重ねて今の理念体系が出来上がった時の喜びがよみがえりました。

パーパスを作るにあたり、SMOさんに最後まで伴走して頂いたのは、本当に嬉しかったです。僕の想いを引き出してくれて、社員の想いも取り入れてくれて・・・それが今はCIとしてウェブサイトにも引き継がれていて、大満足です。熱を入れてくれている人がいるので、自慢のものができています。


齊藤:ありがとうございます。さっきから山口さんには熱とか、熱いって言葉が多いなと(笑)。


山口さん:お客さんからもよく言われます(笑)。今日も、パーパス策定時のわーっと盛り上がって腕まくりしている感じを出した方がいいかなと思って、シャツを持ってきたんですよ。僕は事業に大切なのがまずは熱量だと思っていて、以前TVでスープストックの遠山さんが「儲かるかじゃなく、やりたいことをやった」「やりたいことだったから成功できた」ということをおっしゃっていたんですが、それこそが正に熱量だと思っていて。


齊藤:そういう楽しい感覚って、上がりますよね。「儲かる」だけでやると、儲からなくなった時に熱が出せない。


山口さん:短期的な話であれば「儲かる・儲からない」でも成立するかもしれないけれども、中長期で継続が必要なビジネスだったり、組織として新しい事にチャレンジしたりするときには、皆が熱くなるような目的や意義、つまりパーパスが必要になのかもしれないですね。


齊藤:まさに、そこですね。これからも、たくさんの新しい一歩に期待しています!本日はありがとうございました。



 

山口 正智(やまぐち・まさとも)

株式会社ベルテクス・パートナーズ 代表取締役 


一橋大学卒業後、アクセンチュアに入社。

その後、複数のコンサルティングファームにて事業/IT戦略、業務改革(BPR)、システム導入、PMO支援、チェンジマネジメント、新規事業企画等、多岐にわたる分野でプロジェクトを推進。ゲーム会社では、事業企画や経営戦略、バックオフィス、マーケティング、プロデューサーなど、重要な機能を多数担い、急成長に貢献。

コンサル・事業会社両面の経験から、企業の枠に捉われることなく、様々な企業とのアライアンスビジネスやクライアントに深く入り込んだ成果創出に強みを持つ。

2015年にベルテクス・パートナーズを設立。



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